[計算例 5] 下流端水位の上下により蛇行水路内を遡上・流下する塩水楔
感潮河川では、潮の干満により河口水位が上下に振動し、これによって海水(塩水)が河川に侵入および、 流下を繰り返す。河川の水理条件によっては楔状の塩淡境界が河道内を移動する。 ここでは、単純なSine Genrlated Curve内を行き来する塩水楔のシミュレーションを行う。
計算格子の生成
計算格子の作成はNays3dv専用の格子生成ツールを用いる。 Figure 70 で[Nays3dv用格子生成ツール]を選択し。[OK]をクリックする。
「格子生成」ウィンドウが現れるので、[計算領域(流路)形状]を選び、 流路形状は[Sine Generated曲線]をその他の流路形状パラメーターは下の Figure 71 で赤囲いの部分を設定する。
次に、「格子の追加」を選ぶ。上下流に直線部を追加するので、 下図 Figure 72 で赤囲いの部分を設定する。
最後に、初期水面形を選ぶ。 初期水位は水平とするので、下の 下図 Figure 73 で赤囲いの部分を設定すし、最後に、[格子生成]をクリックすると、格子が生成される。
Figure 74 が現れ、「マッピングしますか?」と聞かれるので、 [はい(Y)]を選択すると、格子生成が完了する。
「プリプロセッサー」ウィンドウに蛇行流路の格子が現れたら、オブジェクトブラウザーで [境界条件設定]→[濃度境界条件の追加]を選び( Figure 75 )、
下図 Figure 76 のように、下流端の断面を囲うようにクリックして「濃度境界を与える辺」を指定し、 最後に[Enter]を押す。
下図 Figure 77 が現れるので、「境界条件濃度を」[0.03]に、 濃度境界条件を与える高さ(m)を[-0.05]とする。本計算例では下流端の水位が初期で0m, 河床高が-0.1mとした ので、「濃度境界条件を与える高さ」を[-0.05]mとすることによって、-0.05mの高さまでが境界条件で 海水となることを表す。設定が終了したら[OK]を押す。
計算条件の設定
メニューバーから[計算条件]→[設定]を選ぶと「計算条件」入力用のウィンドウが表示される Figure 78
「計算条件」ウィンドウ Figure 78 の「モデルパラメータ」は図の赤で囲った部分を設定する。 本計算は密度流なので、「密度流の計算」を[有り]に, ここでは「差分式」を[風上差分]、「鉛直方向の分割数」は [7] とする。流れの渦動粘性係数は流速の対数分布に対応する[放物線分布]とする。
「計算条件」の「初期条件と境界条件」は、河川流量は一定、下流端は周期的な振動とするので、 Figure 79 の赤囲いのように設定する。
「計算条件」の「濃度の初期条件と境界条件」下流端の濃度境界のみ考慮するので、 Figure 80 の赤囲いのように設定する。
「計算条件」の「時間およに繰り返し計算パラメーター」は、 Figure 81 の赤囲いのように設定する。下流端の水位変動が上流に及ぶ ことによる塩水楔の移動なので、自由水面の計算は[する]に設定する。
設定が終了したら、[保存して閉じる]を押す。
計算の実行
[計算]→[実行]を指定すると、Figure 82 のような画面が現れ計算が始まる。
計算が終了すると, Figure 83 のような表示がされる。
計算結果の表示
計算の終了後、[計算結果]→[新しい可視化ウィンドウ(3D)を開く]を選ぶことによって、可視化ウィンドウ(3D)が現れる。
「Ctrl」ボタンとマウス右ボタンを押しながらマウスを上下左右に動かすことによって、 3次元的な見え方が、また、マウスぼセンターダイヤを回すことにより、 Figure 85 のような 拡大・縮小が可能となっている。
Z方向の表示を拡大したい場合は、メニューバーから[表示]→[Z方向の倍率]を選んで、( Figure 86 )
任意の倍率(ここでは2)を入力して、[OK]を押す。( Figure 87 )
ベクトル表示の設定
オブジェクトブラウザーで、[ベクトル]を右クリックして、[プロパティ]をクリックすると、 「ベクトル設定」ウィンドウ Figure 88 が現れる。
Figure 88 のようにベクトルに関する各パラメータを設定し、[OK]ボタンを押す。
等値面表示の設定
オブジェクトブラウザーで、[等値面]を右クリックして、[追加]をクリックすると、 「等値面設定」ウィンドウ Figure 89 が現れる。 これを図のように設定して[OK]を押す。
計算結果の表示およびアニメーション
「可視化ウィンドウ(3D)」 Figure 90 でタイムバーをゼロに戻して、[アニメーション]→[開始/停止]で 計算結果をアニメーションで見ることが出来る。
アニメーションはiRICメインウィンドウ左上にあるプレイボタン等で操作も可能である。Figure 91
グラフの表示
下流端水位の時間変化を表示するグラフを作成する。 メニューから[計算結果]→[新しいグラフウィンドウを開く]をクリック Figure 92 すると、
「データソース設定」のウィンドウ Figure 93 が表示される。 「X軸】に[時刻]を、「計算結果」の「ポイントデータ」に[Dounstream Stage」を指定し、 [追加]をクックりっくする。
「選択したデータ」に[Doenstream Stage]が移動するので、[OK]をクリックする. Figure 94
アニメーション動画の作成
可視化ウィンドウとグラフウィンドウをひとつの画面に入れたアニメーションファイルを作成する。 メニューバーから[ファイル]→[連続スナップショット/動画/Google Earth出力]を選ぶ。 Figure 96
下図 Figure 97 で[次へ]をクリック
下図 Figure 98 で赤囲い部分をチェックして[次へ]をクリック
下図 Figure 99 で画像と動画の出力フォルダを指定して[次へ]をクリック
下図 Figure 100 で「動画ファイルに出力」をチェック、「動画の長さ」を 10秒にして、[次へ]をクリック
下図 Figure 101 で[次へ]をクリック
下図 Figure 102 で[次へ]をクリック
下図 Figure 103 で[完了]をクリック
しばらく待つと、動画ファイルは、で画像と動画の出力フォルダの中の「image.mp4」というファイル名で 作成される。